ボロボロの服から覗く手足には、沢山の傷や痣があった。
「可哀想に……こんな小さな生き物に、酷い事を」
メスのウサギを撫でようと、ブレイズが手を伸ばす。
「ふきゅー……!」
がぶり。
「……」
怯えている証拠だ。此方を敵だと思っているから、自分を守る為に噛みつく。反撃が怖いから、毛を逆立ててずっと噛み続ける。
「よしよし、私達は君に痛い事はしない」
しかし、怒る事無くブレイズは噛まれていない方の手でウサギを撫でた。彼女は驚いて、笑っているブレイズの手から口を離す。
「きゅぅぅ、セラはセラともうしましゅー」
何時ぞやの甘味処で彼女の手当をしながら、事情を聴く事にした。シオネリーゼの治癒魔法を当てながら、三姉妹が顔の汚れを拭ってやる。
「セラはサンドリアでなかまたちとくらしていたのでしゅ……でも、にんげんにつかまってつれてこられたのでしゅ」
聞いた瞬間、シャルトが眉根を寄せる。自分の地で行われている事が、許せなかった。
「それは――」
密猟だ。
「捕まってる幸福ウサギが、他にもいるのだな?」
「……きゅ」
一同は顔を見合わせて、頷き合う。
「助けましょう……!」
「許してはおけぬ。セラ、そなたは何処から逃げてきた?」