The dawn  17話

 

 ボロボロの服から覗く手足には、沢山の傷や痣があった。

「可哀想に……こんな小さな生き物に、酷い事を」

 メスのウサギを撫でようと、ブレイズが手を伸ばす。

「ふきゅー……!」

 がぶり。

「……」

 怯えている証拠だ。此方を敵だと思っているから、自分を守る為に噛みつく。反撃が怖いから、毛を逆立ててずっと噛み続ける。

「よしよし、私達は君に痛い事はしない」

 しかし、怒る事無くブレイズは噛まれていない方の手でウサギを撫でた。彼女は驚いて、笑っているブレイズの手から口を離す。

 

「きゅぅぅ、セラはセラともうしましゅー」

 何時ぞやの甘味処で彼女の手当をしながら、事情を聴く事にした。シオネリーゼの治癒魔法を当てながら、三姉妹が顔の汚れを拭ってやる。

「セラはサンドリアでなかまたちとくらしていたのでしゅ……でも、にんげんにつかまってつれてこられたのでしゅ」

 聞いた瞬間、シャルトが眉根を寄せる。自分の地で行われている事が、許せなかった。

「それは――」

 密猟だ。

「捕まってる幸福ウサギが、他にもいるのだな?」

「……きゅ」

 一同は顔を見合わせて、頷き合う。

「助けましょう……!」

「許してはおけぬ。セラ、そなたは何処から逃げてきた?」

 

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