The dawn 第12話


 兎も角シオネリーゼを起こし、二人を応接室に案内した。隣の部屋から様子を窺うに、二人の仲は良好とは言い難いようだ。

「その……病には掛かっていないか?」

 シオネリーゼは短くはい、と答える。

「……もしかして、話聞いてないのか?」

「はい」

「……俺が嫌いか?」

「はい」

 

「親子の会話じゃねぇな」

「会話にすらなってないような気がする……」

 ダンテとリーシャの感想は全員が抱いたものだった。

「きゅー、シオネリはおうじょぞ? もうあそんでくれないのだぁぅ?」

「そのような事はない」

 シャルトは不安そうにしているナリィを撫でる。

「皇帝の顔は知っていたが、娘は知らぬ。そう扱われたくないのだろう」

 特に、第一王女は本当に最低限の公の場にしか姿を見せない。

「で、如何すんの?」

 ケイの言葉に、全員がブレイズを見る。

「……身分が、違いすぎます」

 クライストの東隣の友好的な国ではあるが、ノルドレイスは大国だ。

 そして――ダンテ達とは違い、今のブレイズは領主でもない一介の騎士だ。

 思いつめて俯くブレイズを見て、ケイは真剣に言う。

「恋愛に身分は関係ない」

 彼等も身分違いを抱えた恋人達なのだから。

「きゅぅ、われもおうえんするのだ!」

「皆……有難う御座います」

 

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