兎も角シオネリーゼを起こし、二人を応接室に案内した。隣の部屋から様子を窺うに、二人の仲は良好とは言い難いようだ。
「その……病には掛かっていないか?」
シオネリーゼは短くはい、と答える。
「……もしかして、話聞いてないのか?」
「はい」
「……俺が嫌いか?」
「はい」
「親子の会話じゃねぇな」
「会話にすらなってないような気がする……」
ダンテとリーシャの感想は全員が抱いたものだった。
「きゅー、シオネリはおうじょぞ? もうあそんでくれないのだぁぅ?」
「そのような事はない」
シャルトは不安そうにしているナリィを撫でる。
「皇帝の顔は知っていたが、娘は知らぬ。そう扱われたくないのだろう」
特に、第一王女は本当に最低限の公の場にしか姿を見せない。
「で、如何すんの?」
ケイの言葉に、全員がブレイズを見る。
「……身分が、違いすぎます」
クライストの東隣の友好的な国ではあるが、ノルドレイスは大国だ。
そして――ダンテ達とは違い、今のブレイズは領主でもない一介の騎士だ。
思いつめて俯くブレイズを見て、ケイは真剣に言う。
「恋愛に身分は関係ない」
彼等も身分違いを抱えた恋人達なのだから。
「きゅぅ、われもおうえんするのだ!」
「皆……有難う御座います」