魔王輪舞曲 第11話

 

「貴方なんでしょ、マーモンを殺したのって」

「……」

「安心して、別に何もしないわ。負ける方が悪いのよ」

 あんな格好を見られたのだから、無理もないのかもしれない。

「ただね、貴方は強欲の魔王の椅子が欲しくてやったんじゃない……のよね?」

 もしそうなら、名乗りを上げているはずだもの、とサティアは言う。

「……うん、実は」

 セレストは傲慢の魔王との契約を、喋った。ルシファーの力が反応しないので、ベリアルと同じく違うのだろう。

「ごめん……」

 黙って話を聞いてくれた事やサティアが悪魔らしくない事――不思議なモノで、やはりロッテに対しているような気がする。似てはいなかったが。

 だからつい、謝ってしまったのだ。

「いいのよ、貴方の選択した事なんだから」

 何故謝られるのか分からないといった風だったが、サティアに言われたら――許された、ような気になった。

「そうね――ただ、知っておいて。如何して貴方は悪魔を殺さないといけないのか」

「彼らが、メルキュリアを殺したから……だよね?」

「ええ、でも如何して彼女が殺されたのかも聞いてる?」

 セレストは首を横に振る。

「人間にはちょっと分からないかもね。魔界に住む悪魔にとっては、ルシファーの愛を得る事が全てなのよ」

 異国にあるという、後宮のような事だろうか――そうセレストは想像した。

「そうね、魔界全体が後宮なのよ。男だろうと女だろうと無性両性関係なく、ルシファーの為に存在する世界」

 愛を得たから、メルキュリアは殺された。

「で、肝心のルシファーが後追い自殺しちゃって。そしたら次に何が始まったと思う?」

 心底呆れていると言いたそうに、サティアは肩を竦めた。

「人間の女の魂を使って、ルシファー復活の儀式をやってるの」

 

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