Nocturne 3話

 

 その後、僕は何度もノクトに会いに行った。

「お待ちを」

 鬱陶しいのに見つかった。コイツは母さんと父さんがいなくなってから、兄さんとこの家を取り仕切っているヤツだ。

「このような時間に、どちらへ?」

「お前には関係ないだろ」

 だから何も言わなかったけど、僕の邪魔をするなら別だ。

「危険です」

「煩い、お前はクビだ」

 僕はそう言い切って出掛ける。ノクトがいるから危険なものか。

「……」

 だから、その後コイツがやる事に僕は気づかなかった。

「探れ」

「はっ」

 もし此処でその陰に気付いていたら、未来は違っていたのかな。

 

「ノクト」

「また来たのか」

 僕達は何時もの木箱の上に座る。そして、取り留めのない会話を、ずっとするんだ。

「危険だから行くなってさ、煩くて困る」

 頬を膨らませながら僕はついさっきの出来事をノクトに話した。

「感心しないのは確かだ」

 後から知った事だけど、此処は所謂スラム街。ちなみに――あの日僕が変な人に捕まったのは、売春宿が並ぶ通りだったらしい。

「大丈夫だよ」

 僕はそっと、ノクトの背中に触れる。そうするとノクトは何時ものように、蝙蝠の翼を生やした。

「最強のノクトがいるんだもの」

 

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