「ふざけんなっ!」
ダンテは憤っていた。原因は、神団から届いた書状と斥候の報告――今いる街に、神団の軍隊が向かって来ている事だ。その数、約5万。
そして、敬虔な信徒であるシャルトの破門――シャルトの実家は代々、神団で高い地位に着いている。それを自分の代で破門されるという事は、先祖に対しても申し訳が立たないだろう。
「……やはり、私だけでも神団に」
「ユリシア」
聖女の言葉を、シャルトが遮った。
「父や祖父……そして暁の光に恥じる事は何もない、破門を言い渡されたとて我は構わぬ」
シャルトは誇り高く優しい真の信徒であり、陰謀に屈したりはしない。
「きゅー、いってはならぬのだぁ!」
シャルトの頭の上にいたナリィは、ユリシアの膝に跳んでしがみついた。
「俺だって今更神団なんざ怖くねぇ。リーシャをあんな場所に戻して溜まるか」
「私も、駆けつけた時から覚悟は出来ています」
「でも街は巻き込みたくないからな、早めに外に陣取っておこうぜ」
「そうだね、シオネリーゼは地図を持っ来てエクセル達を呼んでおいで」
「はい」
仲間の心は、既に一つだった。
「姉様……ダンテ達に出逢えて、此処に来て、本当に良かったよ」
「私も、そう思います……きっと、メル姉様も」
姉妹は軍議を始める仲間達を、暖かい気持ちで見つめていた。