家を焼きつくす為の、全てを奪う蹂躙の炎。それが今、私の目の前で踊っている。
私は最初、茫然と立ち尽くしていたが――直ぐにあそこに住んでいる父の存在を思い出した。
もしかしたら、まだ中にいるのかもしれない。動けなくて、私の助けを待っているのかもしれない。
私は大切な筈の荷物をその場に放り出して、走り出す。
燃えているのは家? 思い出? 自分の身体?
それとも――心?