眠りの谷
死んだ人間はまず此処にやって来る。
その魂はこの谷に根を張り、白い花を咲かせる。
その花びらは時々吹く旋風に乗って、天界へと運ばれていくのだ。
そのよく光景を眺めているのが、怠惰の魔王ベルフェ・ゴールである。
住人は彼一人だけであり、その地位を脅かそうとする者はない。
そもそも死者の通り道でしかない眠りの谷を欲する悪魔は、基本的にいないのだ。